×

ニュース

被服支廠活用 100人考える 南区・オンラインで県ワークショップ 「戦争博物館」や芸術発信

 広島県は17日、広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の利活用策を考える大規模なワークショップを、県健康福祉センター(南区)で開いた。市民の幅広い意見を聞くために会場とオンラインで参加を募り、計約100人が集まった。戦争や被爆者に関する資料の展示・収蔵施設や、アート作品を発信する施設とするアイデアが出た。(水川恭輔)

 参加者は14班に分かれて意見交換。会場では、一人一人が付箋にアイデアを書いて班ごとにまとめた。「軍都」としての歴史、被爆者や平和運動の資料を収蔵する場所の不足を踏まえ、「戦争博物館」や資料を収める場所とするアイデアが目立った。芸術やものづくりに関する機能を持たせる案も出た。

 被服支廠は県が3棟、国が1棟を所有する。参加した市の被爆体験伝承者の東野真里子さん(69)=安佐南区=は「市民の意見を踏まえ、全棟を残して活用してほしい」と求めた。

 利活用を巡っては、県が1月、公募などで募った約50人が5回程度の会合に参加するワークショップを開始。今回はこれとは別に、公募での抽選に漏れた人や継続参加が難しい人に向け、1回形式で参加を募った。

 今回出た意見は、利活用策に関する県の有識者懇談会が議論の参考にする。懇談会は2023年3月末までに利活用の方向性をまとめる予定でいる。

(2022年4月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ