×

ニュース

在韓被爆者支えて50年 市民の会 広島で記念集会 歩み回顧 課題も確認

 結成50年を迎えた「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」が17日、広島市中区で記念集会を開いた。会場とオンラインで計約220人が参加。渡日治療や裁判闘争などを通して、在韓被爆者を支えてきた半世紀の歩みを振り返った。

 同会は1971年12月、大阪で発足した。広島で被爆した孫振斗(ソン・ジンドウ)さん(2014年に87歳で死去)が70年、治療を求めて密入国したことがきっかけだった。

 60年代に中国新聞記者としていち早く韓国の被爆者を取材し、孫さんの支援にも尽くした平岡敬・元広島市長が基調講演。在韓被爆者が長く援護の枠外に置かれた実情を巡り「根底には日本人の歴史認識や差別意識がある」と指摘。「歴史を省み、日韓の被爆者が手をつないで核の非人道性を告発すべきだ」などと述べた。

 続いて同会の市場淳子会長が、50年前に韓国原爆被害者協会から届いた救援メッセージを紹介。被爆者援護法の適用などで進展もあった半面、朝鮮半島出身の被爆者の実数がいまだ明らかでない現実や、北朝鮮にいる被爆者の支援など今なお残る課題を語った。

 広島・長崎両支部や東京のメンバーも発言し、日本が朝鮮半島を植民地支配していた歴史を直視する必要性を訴えた。(森田裕美)

(2022年4月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ