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「核は絶対悪」共有期待 G7サミット広島有力 米英仏 保有国首脳が集結

 2023年に日本である先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、広島市が有力な開催候補地に浮上している。実現すれば、核兵器を持つ米英仏3カ国の首脳が平和記念公園(中区)を訪れる可能性がある。ウクライナに侵攻したロシアが核兵器の使用を示唆する中、核兵器廃絶と世界平和を訴えてきた被爆地広島に世界のリーダーが集い、メッセージを発する意義は高まっている。(河野揚、川上裕、境信重)

 「実現を願っている。各国の首脳に被爆地で核兵器の非人道性を認識してもらいたい」。広島市の垰田宜宏・連携推進担当部長は18日、開催に期待を寄せた。

 市と広島県、広島商工会議所は昨年11月にサミット誘致を表明。今年1月には官民8団体で「サミット広島誘致推進協議会」を設け、松井一実市長や湯崎英彦知事が岸田文雄首相(広島1区)に要望した。

 市はサミットで首脳たちに被爆の実態を伝え、被爆者の体験や平和への願い、核兵器が「絶対悪」という思いを共有したい考え。原爆慰霊碑への献花や原爆資料館の見学を外務省へ提案している。主会場はグランドプリンスホテル広島(南区)とし、他にホテル5カ所も宿舎に使う想定だ。

 市は00年と16年にもサミット誘致を目指したが、かなわなかった。ただ、16年は伊勢志摩サミット(三重県)に先立つ外相会合の開催地となり、G7の外相が平和記念公園に集った。サミットで来日したオバマ氏は現職の米大統領として初めて被爆地を訪問した。

 一方で、核兵器による安全保障を正当化する保有国側が首脳の被爆地訪問に難色を示す可能性も指摘されている。県平和推進プロジェクト・チームの松崎万紀子担当課長は「どこまで期待を持っていいのか」と複雑な表情を見せる。

 23年のサミットは福岡市、名古屋市も開催地に名乗りを上げている。松野博一官房長官は18日の記者会見で「現時点では何ら決まっているものではない」と述べ、6月下旬にドイツである今年のサミットまでに政府として判断する意向を示した。

(2022年4月19日朝刊掲載)

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