×

ニュース

平和公園 全面禁煙断念へ 広島市 喫煙ルーム新設

 広島市は28日、平和記念公園(中区)の全面禁煙化を見送り、喫煙場所を残す方針を固めた。現在5基ある灰皿を4基に減らし、公園内に新たに喫煙ルームを1カ所設ける予定でいる。受動喫煙防止の観点から市は全面禁煙を検討してきたが、観光客を含む公園利用者へのアンケートでは賛否が拮抗(きっこう)していた。(加納亜弥)

 約12ヘクタールの平和記念公園には現在、園路から離れた場所に灰皿5基が点在する。市は今後、4基に減らす。代わりに原爆資料館東館の近くに煙を遮る喫煙ルームを設ける。時期は今後、詰める。

 平和記念公園は市のぽい捨て等防止条例で、市が設置した灰皿以外での喫煙や、吸い殻の投げ捨てが禁じられている。市は「受動喫煙の機会を減らしたい」と昨年6月、20基あった灰皿を4分の1の5基にした。

 市は併せて公園利用者にアンケートを実施。昨年(222人回答)は全面禁煙に賛成49・5%、反対50・5%と拮抗し、ことし6月のアンケートでも同様に賛否が割れたという。

 同じ被爆地である長崎市の平和公園は、2009年10月から全面禁煙にしている。

 平和記念公園で読書していた中区のフィットネスインストラクター本多美和さん(44)は「喫煙場所があることで吸い殻が減れば、清潔感もある。条例を知らない観光客も困らないし安心」と存続に賛同。一方、帰宅途中の中区のパート南直子さん(45)は「特別な祈りの場。子どもも多く、灰皿を残す必要性があるのか疑問」と話した。

(2013年10月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ