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三次発平和の鐘 鐘楼渡米へ着々 カーター氏拠点設置予定 7月から組み立て

 三次市甲奴町の寺から戦時中に供出され、現在は米国にある鐘をつり下げる鐘楼の仮組みが終わり、同町の建築会社で地元住民に披露された。今後、解体した材木を船便で米国に運搬。地元の大工も訪米し、鐘を展示しているジミー・カーター元米大統領(97)の活動拠点カーターセンター(ジョージア州アトランタ市)で組み直す。

 同町小童(ひち)の正願寺にあった鐘は軍需物資として供出され、戦後に英国を経て米国に渡った。1985年にアトランタ日本商工会議所などが寄付金を募って買い取り、カーター氏に寄贈した。現在は同センターの台座に置かれている。

 鐘楼の大きさは幅2・4メートル、奥行き2・8メートル、高さ4・1メートル。地元の建築業近藤順孝(のりたか)さん(68)が世羅町産の樹齢約150年のヒノキを製材し、ことし初めから大工2人、彫刻職人1人と一緒に仕上げた。

 鐘楼の建築はジョージア日米協会などが主体となり、日米双方で資金を募った。甲奴町の住民でつくる「平和の鐘」プロジェクト支援実行委員会によると、米国で約1100万円、日本で約170万円の寄付が寄せられたという。7月から米国で組み立てを始める予定でいる。

 鐘が縁となり、カーター氏は90年と94年に甲奴町を訪問している。「10月1日のカーターさんの誕生日までにお披露目したい」と実行委の花神佐市郎委員長(52)。正願寺の吉井祥道住職(73)は「うちの鐘楼と交換してほしいほど立派。海を渡った鐘も喜んでくれるはず」と感激していた。(石川昌義、千葉教生)

(2022年4月20日朝刊掲載)

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