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被爆者手帳 在韓6人全員に交付 広島県方針 海外派遣調査で初

 被爆者健康手帳の交付を申請した韓国人の男女6人に対する交付の可否を判断するため、韓国に職員を派遣して調査していた広島県が、6人全員に手帳を交付する方針を決めたことが28日、分かった。聞き取りなどから「信ぴょう性がある」と判断し同日、交付通知の文書を郵送した。県が海外に職員を実地調査で派遣し、手帳を交付するのは初めて。

 6人は68~83歳で、釜山市やその近郊に住む3人ずつの2組のきょうだい。1組は爆心地から3・5キロの庚午北町(現広島市西区)、もう1組は4・5キロ離れた祇園町(現安佐南区)で被爆したとして3月と7月、県に申請した。しかし当時の記憶がある年長者が難聴で電話での聞き取りが困難だったため、今月7~9日に職員2人を現地に派遣した。

 現地では2組から約3時間ずつ聞き取り、①原爆投下後の自宅や周辺の損壊状況②8月6日の過ごし方③通っていた学校の構造―など15項目を確認。県や広島市が蓄積する資料の内容とほぼ合致した。いずれも証人はいないが、県被爆者支援課は「広島市で被爆したと総合的に判断できた」と結論づけた。

 被爆者と認定できると判断された申請者は来日すれば手帳が交付される。渡航費は日本の国費で賄う。

 長崎県、市は電話での聞き取りが難しい場合、現地に職員を派遣して計約60人に手帳を交付している。広島県被爆者支援課は「原爆投下から68年が過ぎ、被爆者の高齢化が進んでいる。被爆者の目線でより丁寧に対応したい」としている。(門脇正樹)

(2013年10月29日朝刊掲載)

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