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避難家族へ支援の輪 ウクライナの3人 福山市で住民票 相次ぐ寄付 同郷者と交流も

 ロシアによる軍事侵攻でウクライナから家族3人が福山市内に避難して3週間余り。買い物や観光にも出かけ、少しずつ落ち着いた生活を取り戻している。市内外から寄付の申し出が家族や市に相次ぐなど、支援の輪は広がっている。(門戸隆彦、佐伯春花)

 同国南部のミコライウから避難してきたタチアナ・カトリッチさん(49)と娘のビクトリアさん(23)、孫で8カ月のソフィアちゃん。支援者の斉藤かおりさん(61)によると、今月中旬に住民票を取得し、金融機関で通帳もつくった。斉藤さんの知人の日本語教師からテキストの提供も受け、日本語の勉強に励む。デパートや動物園、市内の名所巡りも楽しみ、日本での暮らしに少しずつ慣れてきた様子だという。

 生活費の確保が当面の課題だが、斉藤さんたちを通して約20件、計15万円の寄付が寄せられた。ビクトリアさんは全員にウクライナ語でお礼状を書いているという。市にも寄付の申し出が5件あり、官民でつくるふくやま国際交流協会(林克士会長)が来週明けから受け付ける方向で調整している。

 また、市内2カ所で映画館を運営するフューレックは、ウクライナが舞台の反戦映画「ひまわり」(1970年)を5月6~12日に上映し、売り上げの一部を家族に寄付する。期間中は館内に募金箱も設置する。酒井一志映像事業部ゼネラルマネージャー(53)は「地元の企業としてできる限り力になりたい」と話す。

 市は、保健師がソフィアちゃんの健康チェックも続ける。市内で暮らすウクライナ人女性から相談相手になりたいとの連絡もあり、家族とつないだという。

 一方で、家族3人は母国に残るタチアナさんの夫アナトリーさん(53)の身を案じる。自宅近くのスーパーは品切れの状態が続き、アナトリーさんは川の水を沸かして飲んでいるという。タチアナさんは「ここはサイレンも爆音も聞こえず安心して寝られるけれど夫が心配。早く会いたい」と話しているという。

(2022年4月22日朝刊掲載)

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