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被爆体験や絵で生徒に惨状語る 原爆資料館元館長の原田さん

 原爆資料館(広島市中区)元館長で被爆者の原田浩さん(82)=安佐南区=が23日、同館で北海道音威子府(おといねっぷ)村からの修学旅行生に被爆体験を語った。自身の証言を基に基町高(中区)の生徒が描いた「原爆の絵」を見せ、悲惨さを共有した。

 北海道おといねっぷ美術工芸高の3年生36人が聞いた。原田さんは6歳のとき爆心地から約2キロの広島駅で被爆。原爆の絵は4枚あり、焼け跡で折り重なる死体を踏んでさまよい歩いた生々しい記憶を描写している。「逃げるために必死だった。桃を手にしていたが、うずくまっていた女性にせがまれても絶対に渡せなかった」と過酷な状況を語った。

 絵の制作過程では、自身のつらい体験を基町高生が受け止めきれるのかと証言を度々ためらったという。「生徒も苦しみながら描いてくれた。歴史を学び、原爆や殺りくの重みを考えて」と語り掛けた。おといねっぷ美術工芸高の吉田怜央さん(17)は「苦しい記憶を描くことは難しいと思うが、絵によってより原爆の恐怖を実感した」と受け止めた。(田中謙太郎)

(2022年4月24日朝刊掲載)

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