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岩国爆音 2次提訴へ 艦載機移転後に「悪化」 原告団の結成準備

 米軍岩国基地(岩国市)の騒音を巡り、周辺住民たちが損害賠償や飛行差し止めを国に求める第2次訴訟を準備していることが23日、分かった。空母艦載機約60機が2018年に移転したほか、軍種を超えた戦闘機の飛来が相次ぎ、騒音件数が増えていることが背景にある。原告団の態勢が整い次第、山口地裁岩国支部に訴えを起こす。(有岡英俊)

 関係者によると、米軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地へ18年3月に移転を完了した艦載機の騒音の実態や、住民の健康被害を訴えるとみられる。滑走路が10年5月に沖合へ移った後の騒音被害について、1次訴訟で一部の原告が慰謝料の対象に含まれなかったことも争点にするもようだ。

 住民たちは近く、新たな原告団の結成に向け、地域で説明会を開く予定。原告になる予定の男性は「艦載機の移転後、戦闘機の音がひどい。特に最近はいろんな飛行機が飛んで騒音が増した。会話も聞こえないこともある。最初の裁判の時より状況は悪くなった」と話す。

 住民654人が騒音被害を訴えた1次訴訟は09年3月に提訴。一審、二審とも過去の騒音被害について国に賠償を命じた一方、夜間・早朝の飛行の差し止めや将来受ける騒音被害の賠償は認めなかった。控訴審の開始後に移転が完了した艦載機の騒音被害については、広島高裁は飛行回数の増加を認めつつ「騒音状況を証するに足りる資料は提出されていない」などとして訴えを退けた。最高裁は21年4月、住民側の上告を退け、二審広島高裁判決が確定した。

 岩国基地を巡っては、艦載機約60機の移転後、騒音件数が増えている。21年度は市の測定で70デシベル以上の騒音が3万回を超え、滑走路の沖合移設後で最多となった。艦載機のほか、米空軍のステルス戦闘機F35Aが昨年12月に飛来して基地所属機と訓練を繰り返すなどし、基地機能が強化されているとの指摘も出ている。

(2022年4月24日朝刊掲載)

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