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米、また新型核実験 核不使用声明の直後「水差された」 ヒロシマ怒りの声

 米国が核兵器の性能を調べる新たなタイプの核実験を7~9月にしていたことが分かった30日、広島の被爆者や市民は一斉に怒りの声を上げた。「なぜ核兵器廃絶の思いが届かないのか」と失望も広がった。

 「腹立たしい。核兵器廃絶を訴える国際社会への挑戦だ」。広島県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(73)は語気を強めた。念頭にあるのは今月21日に発表された、核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明だ。日本も初めて名を連ねた。

 「せっかくの機運に水を差された。『世界のリーダー』を名乗る米国がどうして人々の声を無視するのか」。もう一つの県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長(71)も憤った。

 これまで米国が行ってきた同種の実験に抗議してこなかった政府の責任を問う声も出た。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表(74)は「米国の『核の傘』に頼る同盟国も核開発を助長している。とりわけ被爆国日本が明確に批判すべきだ」と訴えた。

 広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(核軍縮)は「米国は核兵器の性能を保つため、他にも何十種類もの実験を並行して実施している。『核爆発を伴わないから』と罪悪感さえ持っていないはずだ」と指摘。「国際社会はこの実験に限らず、米国が核戦略全体を改めるよう働き掛けるべきだ」と話した。(田中美千子)

(2013年10月31日朝刊掲載)

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