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米、また新型核実験 7~9月 10年以降10回目

 米エネルギー省傘下の核安全保障局(NNSA)が7~9月、強力なエックス線を発生させる特殊装置「Zマシン」を使って核兵器の性能を調べる新たなタイプの核実験を、ニューメキシコ州のサンディア国立研究所で1回実施していたことが30日、分かった。(田中美千子)

 NNSAが公式ホームページ(HP)で明らかにした。直近では5月15日に実施したことを明らかにしており、実施回数は通算10回目となった。

 被爆国日本を含む125カ国が今月21日、核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明を国連総会第1委員会(軍縮)で発表したばかり。「核兵器なき世界」を掲げながら、核戦力を維持するために実験を繰り返す米オバマ政権に国際社会の批判が集まりそうだ。

 新たなタイプの核実験は、オバマ大統領の就任後の2010年11月に初めて実施。超高温、超高圧という核爆発に近い状態をつくり出し、プルトニウムの反応をみる。核実験場や火薬は使わない。

 NNSAはこれまで「地下核実験をせずに保有核の安全性や有効性を保つ手段」との説明を繰り返している。

 オバマ政権下で米国は、新たなタイプの核実験に加え、核爆発を伴わない臨界前核実験も4回実施している。

米国の核実験
 1945年に最初の核実験に成功して以降、地上や地下で実験を繰り返したが、92年を最後に一時停止。97年からは、プルトニウムなどの核物質に高性能火薬で衝撃を加える臨界前核実験を続けた。核爆発を伴わないとして、米国は包括的核実験禁止条約(CTBT)の対象外と主張する。近年は実験室内で核兵器の性能を検証する研究に力を入れる。

(2013年10月31日朝刊掲載)

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