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給油機岩国移転へ なし崩し基地強化に不安 地元「飛行回数増える」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)からのKC130空中給油機の先行移転案が浮上した米海兵隊岩国基地(岩国市)。地元岩国市や山口県、基地周辺の自治体には、岩国基地の機能強化がなし崩し的に進むのではないかという懸念や戸惑いも広がっている。

 「一日も早い辺野古への移設と普天間飛行場の返還が実現できるよう、最大限の努力をしていきたい」。岸信夫外務副大臣と木原稔防衛政務官は、岩国市の福田良彦市長たちに「沖縄の負担軽減」を理由に挙げ、給油機の先行移転の理解を求めた。

 しかし、福田市長は「先行移転は認めない」と従来のスタンスは変えなかった。普天間問題が解決しないのに、岩国市だけが負担を受け入れたのでは本末転倒だからだ。

 給油機の機数も当初の12機から3機も増える。福田市長は「飛行回数が増えることは否定できない」とし、これまで国から説明がなかった点も「釈然としない」と述べた。

 一方で、11月中旬に沖縄県を訪れ、関係者と会う意向も表明。その内容を踏まえ、12月の市議会定例会で先行移転への対応をまとめていく方針を示した。

 山口県は、入院中の山本繁太郎知事に代わって藤部秀則副知事たちが対応。「普天間移設は困難では」と尋ねた副知事に、岸副大臣たちは「最大限の努力をしたい」とだけ返した。柳居俊学県議会議長は、岸副大臣に「こちら側に座ってもらった方が…」と冗談を交えながら、「負担軽減というが、沖縄の方々はその辺を理解してくれているのか」とやんわりとくぎを刺した。

 周辺自治体では、訓練内容などの不明さにも不安が広がる。上空が米軍機の訓練ルートとなっている周防大島町の椎木巧町長は、機数の増加を「到底納得できない。住民の不安が増す」と批判した。大竹市の入山欣郎市長は「騒音軽減など住民の安心安全に対して最大限配慮するよう、国に要望している」とのコメントを出した。廿日市市の西寿実総務部次長は「基地の強化につながる計画は容認できない」とした。

(2013年10月31日朝刊掲載)

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