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江田島市原爆被害者の会 被爆2世 初の会長に 上松さん就任 慰霊・体験継承担う

 広島県江田島市内の被爆者たちでつくる江田島市原爆被害者の会は26日、総会を開き、市議の上松英邦さん(68)が被爆2世として初の会長に就任した。会員の減少や高齢化に伴い、今後は被爆2世が主体となって慰霊や体験継承の活動に取り組む。(楠信一)

 同会は旧江田島町で発足し、市内唯一の被爆者団体。会員は20年ほど前には約350人いたが、現在は70人を下回る。約3年前から被爆2世の入会を促し、5人ほどが共に活動しているという。

 総会は同町の江田島市民センター別館であり、15人が出席した。今後、新会長の下で役員人事を決め、引き続き被爆2世の参加を呼び掛ける方針を確認した。

 前会長の大原忠さん(80)は「一時は会の解散も考えたが、2世に会長を引き継いでもらい安心した。末永く活動を継続してほしい」と期待した。

 会は例年7月に原爆死没者慰霊祭を開き、子どもたちに被爆体験を語ってきた。2020年と21年は新型コロナウイルスの影響で中止したが、今年は新体制での再開を目指す。

 上松さんの母利枝さん(87)は小学5年生の時に入市被爆。原爆投下の翌日、父を捜して母と歩いて見た惨状を語り部として伝えている。また、上松さんは市遺族連合会長にも27日に就任する。「原爆を含めて、戦争で亡くなった多くの犠牲の上に今の平和がある。市内の戦争に関わる団体が連携しながら、平和を願う取り組みを続けたい」と決意を語った。

(2022年4月27日朝刊掲載)

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