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入会権訴訟 来月に判決 上関原発 差し戻し控訴審結審

 中国電力の上関原発建設予定地に当たる山口県上関町四代地区の山林をめぐり、原発に反対する住民男性(86)が入会権の確認を求めた訴訟の差し戻し控訴審の第1回口頭弁論が31日、広島高裁であった。中電は控訴棄却を求め、即日結審した。判決は12月12日に言い渡される予定。

 訴状などによると、山林は地区の八幡宮が中電に売却した約10万平方メートル。入会権は、住民が特定の山林や原野を共同で使い、草やまきの採取などができる慣習上の権利を指す。

 山林について、男性側は「集落で共同所有していた。管理も住民が担い、戦後3回は大規模に伐採した」などと主張。一方、中電側は「土地台帳や登記状況から、一貫して集落に帰属してはいなかった。個人的利益のためにまきを取ることなどは禁じられていた」と反論した。

 男性は、入会権確認と土地所有権の移転登記の抹消、中電の工事禁止を求めて提訴。一審山口地裁岩国支部は2007年12月、請求を全て却下した。男性が控訴したが、二審広島高裁は09年6月、入会権確認を同地裁に差し戻し、その他の請求は控訴を棄却した。

 最高裁は10年9月、二審判決を不服とした男性と中電双方の上告を受理しないと決定。これに伴い、移転登記の抹消と工事禁止をめぐる請求は、男性の控訴を退けた二審判決が確定。入会権確認については同地裁が12年12月、請求を棄却し、男性が控訴した。(根石大輔)

(2013年11月1日朝刊掲載)

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