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放射線の原因を高精度解析へ 原発周辺の監視ポスト24基 島根県がシステム改修へ

 島根県は11月、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故に備えた放射線監視(モニタリング)システムの改修に乗り出す。放射性物質の発生原因を高い確度で判断できる測定データを、リアルタイムで収集。線量が上がった時に原発事故に伴うものかどうかを見分け、周辺住民の安全確保につなげる。(樋口浩二)

 松江市に21基、原発30キロ圏の出雲、雲南、安来市に1基ずつ計24基置いた固定型のポストが観測したデータを、通信網を整備し県原子力環境センター(松江市)で一括受信できるようにする。降雨など自然現象で発生した鉛などの物質か、セシウム、ヨウ素など原発から放出された人工的な物質かを常時チェック。異常があれば県庁を通じ4市に伝える。

 個々のポストには観測機能はあるが、データを一括して解析するための通信網がなかった。ポスト24基のうち福島第1原発事故を受け配置した13基は4月、先行してネットワーク化。それ以外の11基は線量が上昇した時に職員がポストに出向きデータを収集している。

 11月に事業者を選定。来年3月までに改修を終え4月に運用を始める。事業費は数千万円とみられ、財源は全額、国の交付金を充てる。同センターの原田和幸センター長は「精度の高い情報を4市などと共有することで事故の際だけでなく、平時にもより確実な『安全』を判断し、発信できる」としている。

島根原発の放射線監視
 島根県は固定型のモニタリングポスト24基のほか、福島第1原発事故を受け携帯型のポスト5台も松江、出雲、雲南、安来の30キロ圏4市に常設した。さらに事故に備え、30キロ圏に配備するための携帯型ポスト45台を県が保有している。

(2013年11月1日朝刊掲載)

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