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社説・コラム

天風録 『花の力』

 「平和になってほしいです」「がんばって育てました」。子どもの字のメッセージが小さな鉢植えに添えられていた。広島市の平和記念公園で開かれているピースフラワープロジェクト花育(はないく)。園児や児童らが育てた3万鉢を並べる▲丹精込めた花々が芝生広場に描き出しているのは、リボンをつなぐ3羽のハト。ひろしまフラワーフェスティバルが「Power of Flowers~ともにつなぐ 希望のリボン~」をテーマにきのう始まった▲コロナ禍の影響でパレードはなく、平和大通りもさほど混雑していない。寂しい気がするが、至る所で色とりどりの花が揺れ、香りがマスク越しに鼻をくすぐる。腰を下ろして見ると、鉢に園児の描いた絵がある。育てた子の気持ちに触れつつ歩く▲花育とは、子どもが花に親しみ、育てて心を豊かにすることだろう。45回目を数える花と平和の祭典にもぴったり。そう感じて歩くうち、笑顔でいる自分に気付いた。どうやら花育は私たち大人も育んでくれるらしい▲広島国際会議場などでは華やかなステージも繰り広げられる。平和の祈りを表現し、元気も届ける歌やダンス。花の力をつないで、困難を乗り越えていきたい。

(2022年5月4日朝刊掲載)

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