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本紙5日創刊130周年 地域と歩み 未来つくる決意

 中国新聞は5日、創刊130周年を迎えました。1892(明治25)年5月5日、前身の日刊「中國」として広島市で第1号を発行し、きょう付で第4万5930号に達しました。明治、大正、昭和、平成、令和と五つの時代にわたり、読者の皆さまとともに激動の時代を歩み、地域の営みを紙面に刻んできました。

 長い道のりの中で最大の試練は、1945年8月6日の米軍による人類史上初の原爆投下です。社員の3分の1に当たる114人を失いました。幾多の苦難を乗り越え、地域の言論機関の務めを果たしてこられたのも読者、地域の皆さまの励ましがあったからこそです。深く感謝申し上げます。

 130周年という節目に、私たちは果たすべきミッション(使命)とビジョン(将来像)を定めました。「確かな情報でこのまちを守り、力づけ、おもしろくする」とのミッションのもと、「このまちの未来をともに創造する地域応援企業グループに進化する」とのビジョンを掲げました。ニュース発信のその先へ―。地域とともに未来をつくっていく担い手になろう、との宣言です。

 新型コロナウイルス禍、ロシアのウクライナ侵攻などで内外の情勢は不透明さが増しています。こういう時代だからこそ、「確かな情報」を届ける新聞の真価が問われています。デジタル展開にもさらに力を入れ、紙面、デジタルの両面で充実した報道を目指します。新しい時代に必要とされる地域メディアとなるため、読者、地域の皆さまとの絆を強め、新たな一歩を踏み出します。

 中国新聞社

[130th ひらく、広がる。中国新聞] 僕らが 中国新聞に思うコト アンガールズの山根良顕さん・田中卓志さん

 中国新聞創刊130周年にあたり、広島出身の人気お笑いコンビ「アンガールズ」の山根良顕さんと田中卓志さんが、中国新聞の思い出や期待を語り合った。(聞き手・里田明美、加納亜弥)

広島の人とつながり、広島が近くなるツール もっともっと地元密着でもいいかもしれない -山根

上京して核問題への温度差 実感。 原爆報道 貫いて 郷土出身の芸人 応援するコーナー作れんかな -田中

幼いときから

 山根 うちの実家はずっと中国新聞よ。小学校高学年の頃から「天風録」を読んどった。塾や学校で要点をまとめる練習の題材になってたからね。天風録とテレビ欄と、新商品紹介の記事をよく読んどったわ。

 田中 うちも中国新聞じゃけど、新聞がおじいちゃんの部屋にあったけえ、そこで読んでた。といってもテレビ欄だけどね。その日にどういう流れでチャンネルを回すか、兄弟3人でプランを立てとったわ。難しいニュースはあまり見てなかったね。

 山根 でも大好きなカープの記事は時々見てたじゃろ。

 田中 あー、確かに。カープの勝敗が載ったスポーツ面は見てた。一時期、株価のページも見てたな。任天堂やコナミなど知ってるゲーム会社の名前を探しとった。

 山根 スポーツ面といえば「球炎」よ。カープに対して、いいことばかりを言わないところがいいね。球炎は街の人と同じ目線で共感を呼ぶ記事。「よう言うてくれた」「わしもそう思うとった」というのをうまく打ち出してくれる。

 球炎で厳しい記事が載ると広島の人たちがそれ以上、きついことを言わなくなるのも面白い。怖い人が怒ると他の人が怒らなくなるのと同じ。中には「そこまで言わんでもええじゃない」という空気まで生まれるから不思議よね。

 田中 しかし広島の人のカープ愛はすご過ぎる。こないだ「最近の球炎はゆるい」と言う人がおった。とうとう球炎に駄目出しし出したかとたまげたわ。

 山根 僕らのカープ愛も負けとらんね。僕、黒田(博樹)さんが日米通算200勝を達成した記事が載った新聞を大事にとっとるけえね。

 田中 僕も25年ぶりに優勝した時の号外&本紙は持っとるよ。

今後の期待は

 山根 中国新聞ってカープに限らず、原爆報道など地元に特化した記事が多いよね。全国紙と同じことをやっていては「ネット記事で十分」と言われかねない。もっともっと地元密着でもいいかもしれない。僕も仕事で広島の情報を調べることがあるけど、結果的に情報元は中国新聞だったりする。

 田中 広島の人は同郷の人を熱心に応援する傾向が強いから、そこらへんが紙面に生かせたらいいな。中国新聞の中に東広島市出身で、安田大サーカスのクロちゃんが連載するコーナーとか作れんかな。「ほんまにカープファンなのか」ってたたかれているクロちゃんにリベンジのチャンスをあげたい。

 山根 実はお笑いの世界には広島出身者が多いね。有吉弘行さんやバイきんぐの西村瑞樹さん、三浦マイルドさん…。

 田中 天津の向清太朗さんや、GAGの坂本純一君もいる。こうした芸人がリレー形式で登場する「広島出身芸人数珠つなぎトーク」みたいなコーナーがあれば、僕らも参加したいね。

被爆地として

 田中 じゃけど、中国新聞の一貫した原爆報道は大切なことよ。広島から東京に来ると、同じ日本でも核の問題に対してこんなに温度差があるのかと思う。やはり原爆が落とされた場所にある広島の新聞として、これからもスタンスを崩さずに書いていってほしい。

 山根 平和記念公園にも近いしね。原爆に関するデータや取材の蓄積も一番じゃろうね。ヒロシマを見つめ続けている中国新聞だからこそ、メッセージの強さや説得力もある。地道な報道が本当のヒロシマを伝えることになると思うね。

 田中 僕らデビューしてからメディアに出してもらうようになったけど、今でも新聞に載るっていうのはうれしいことよ。昔はカープの試合を見に行ったら翌日朝刊で「自分が(写真に)写っとらんかな」と探しよったぐらいだから。

 山根 中国新聞って僕らにとっては、広島の人とつながり、広島がもっと近くなるツール。それに読み終わった後の使い道がいろいろある。生ごみを捨てるときにめっちゃ役立つし。そういや、田中のお母さんはサンドイッチを切るとき、新聞紙を敷いて切っとったよね。

 田中 そうそう。サンドイッチに細切れの新聞がくっついとった。そのサンドイッチを山根に食べさせたことがあったよな。まあ、ドラえもんの暗記パンみたいなもので、記事の内容が頭に入って、結果的に山根が賢うなったけん良かったわ。

やまね・よしあき
 1976年広島市安佐南区出身。広島修道大卒。趣味は野球観戦と筋トレ。チャイルドカウンセラーの資格を持つ。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

たなか・たくし
 1976年府中市出身。広島大卒。物理と数学が得意。趣味はコケ栽培と囲碁。特技は建築の構造を研究すること。座右の銘は「アリの思いも天に届く」

紙面編集・柳岡美緒

きょうを刻む 歴史を刻む 130周年 ありがとう これからも

(2022年5月5日朝刊掲載)

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