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空中給油機 2機増強へ 米軍岩国基地 拠点機能強化に懸念

 米軍岩国基地(岩国市)に15機配備されているとみられるKC130空中給油機が、2023年3月までに17機に増強されることが9日、分かった。米海兵隊が3年ぶりに公表した航空計画に明記した。空中給油で部隊をより遠方へ迅速に展開させる狙い。岩国基地の拠点化が進むとして、市民団体から懸念の声が上がっている。

 航空計画によると、沖縄の負担軽減策で米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)から14年に移転した海兵第152空中給油輸送中隊の15機に2機追加される。米ハワイ州のカネオヘ・ベイ基地にも新たに17機を配備し、後方支援能力を強めて海兵隊の機動性を高めるとしている。

 岩国基地所属のKC130を巡っては、18年12月に高知県沖で訓練中、FA18ホーネット戦闘攻撃機と接触し墜落する事故を起こし、6人が死亡した。今年3月には甲府市の陸地上空で空中給油を繰り返した。上部組織の第1海兵航空団(沖縄県)は中国新聞の取材に「全ての作戦は2国間の協定に従って実施され、通常の訓練をした。作戦上の安全のため、運用の詳細には言及できない」としている。

 一方、21年春ごろまでに16機から32機に追加配備される計画だったステルス戦闘機F35Bについて、岩国市は22年5月までに2部隊計28機の常駐を確認している。航空計画では、23年10月以降に20機に減らす。ただ、米海兵隊は中国やロシアの動きを念頭に配備計画を見直す可能性があり、市は「国からの情報提供を待ちたい」とする。

 同市の市民団体「住民投票を力にする会」の藤本博司事務局長は「空中給油機は機数が増え、基地の機能強化がより進む。岩国の上空でも危険な空中給油の訓練がされるかもしれない。断じて容認できない」と話している。(有岡英俊)

(2022年5月10日朝刊掲載)

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