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ウクライナ支援演奏会 平石さんら三次で最終公演 平和の願い 音楽に込め

避難一家招待し面会

 ウクライナ出身の母親が広島市で暮らす平石英心リチャードさん(14)と友人の岡野純大さん(16)=同市西区=による、ウクライナ支援のチャリティーコンサートの最終公演が7日、三次市三次町の市民ホールきりりであった。ロシアの侵攻を受け、同市に住むいとこのオクサナ・ヤシチェンコさん(47)を頼ってウクライナ東部から避難してきたイリーナ・ブワイロさん(36)一家5人も招待され、観客とともに平和を願った。(石井千枝里)

 平石さんはバイオリン、岡野さんはピアノで、ショパンのエチュードやウクライナ国歌「ウクライナは滅びず」など8曲をホールに響かせた。約240人が耳を傾け、大きな拍手を送った。最後にマイクを握った平石さんは「一日でも早く戦争が終わり、平和な日常が戻ってほしい」と語り、支援の継続を訴えた。

 コンサートは3月中旬から県内各地で開き、今回で11回目。三次では市民有志でつくる実行委員会が催した。会場に設置した募金箱への寄付金とコンサートの収益の計約70万円を、ウクライナロータリークラブに送る。母親と訪れた小学4年中野詠美さん(9)=広島市中区=は「音楽の力で平和の思いを伝える姿に感動した」と話した。

 コンサート前日の6日、ヤシチェンコさんとイリーナさんの夫ドミトリーさん(38)がリハーサルを見学。ドミトリーさんは「きれいな音色で、ウクライナを応援する思いが伝わってきた」と笑顔を見せた。

 平石さんの母エレナさん(43)とも初めて会い、現地の戦況や避難後の様子を伝えた。三次に到着して約3週間。生後7カ月~12歳の3人の子は日本での生活に慣れてきたという。ドミトリーさんと長男アレクサンドルさんは、ヤシチェンコさんの知人の日本語講師から言葉を教わり始めた。

 夏のコンクールのため8日に日本を出発しドイツへ向かった平石さんは「いつかウクライナでもコンサートができればうれしい」と力を込めた。

(2022年5月10日朝刊掲載)

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