パンで膨らむ世界 海外でも 岩国の人気ベーカリー 月末閉店 五十嵐さん ジョージアへ
22年5月10日
全国から注文が寄せられる岩国市竹安のベーカリー「パンと農園 種と土」の店主五十嵐九重(このえ)さん(62)が、5月末で店を閉める。体力の衰えを感じだし、長年の夢だった海外生活をする最後のチャンスと考え、西アジアのジョージア(グルジア)に移住する。7年近く岩国で活動できたことに感謝しながら、新天地で再出発を目指す。(川村奈菜)
東京でパンを製造・販売していた五十嵐さんは2015年秋、知人が岩国市山間部でベーカリーを開くことになり、空き家だった築約100年の古民家でパンを作り始めた。地元産のイチゴや小松菜などを使ったパンも焼き、ネット販売で人気を集めた。集落再生を願い、パン教室やイベントを催して地元と交流してきた。
岩国市で活動して6年余り。年齢も重ね、ついのすみかについて思いを巡らしていた時、ジョージアで移住コーディネーターをしている長男(40)に同居を誘われた。「今しかない」と今年1月に決断した。
五十嵐さんの商品を置く市内の「ふぁむずキッチンいわくに」の店長を3月末まで務めていたJA山口県岩国中央営農センターの森本慎司さん(42)は「リピーター客も多かったので残念」と話す。
ジョージアはロシアと接し、軍事侵攻されたウクライナと同じく黒海に面した国。常連客に移住を知らせると、心配する声も寄せられた。長男から「直接的な影響はない」と聞き、長男がそばにいるのも心強いという。家庭用オーブンでパンを焼き、帽子職人としての活動も目指す。
五十嵐さんは「自然豊かな場所で、穏やかな気持ちでパンを作らせてもらった。ジョージアでもこの経験を生かし、あんパンや、着物を使った帽子などで日本文化を伝えられたらうれしい」と話している。
(2022年5月10日朝刊掲載)
東京でパンを製造・販売していた五十嵐さんは2015年秋、知人が岩国市山間部でベーカリーを開くことになり、空き家だった築約100年の古民家でパンを作り始めた。地元産のイチゴや小松菜などを使ったパンも焼き、ネット販売で人気を集めた。集落再生を願い、パン教室やイベントを催して地元と交流してきた。
岩国市で活動して6年余り。年齢も重ね、ついのすみかについて思いを巡らしていた時、ジョージアで移住コーディネーターをしている長男(40)に同居を誘われた。「今しかない」と今年1月に決断した。
五十嵐さんの商品を置く市内の「ふぁむずキッチンいわくに」の店長を3月末まで務めていたJA山口県岩国中央営農センターの森本慎司さん(42)は「リピーター客も多かったので残念」と話す。
ジョージアはロシアと接し、軍事侵攻されたウクライナと同じく黒海に面した国。常連客に移住を知らせると、心配する声も寄せられた。長男から「直接的な影響はない」と聞き、長男がそばにいるのも心強いという。家庭用オーブンでパンを焼き、帽子職人としての活動も目指す。
五十嵐さんは「自然豊かな場所で、穏やかな気持ちでパンを作らせてもらった。ジョージアでもこの経験を生かし、あんパンや、着物を使った帽子などで日本文化を伝えられたらうれしい」と話している。
(2022年5月10日朝刊掲載)