×

ニュース

自民 9条見直し最優先 衆院憲法審 立民・共産は反対

 与野党は12日、衆院憲法審査会を開き、9条を含む安全保障を討議した。自民党は、自衛隊を明記する条文改正と緊急事態条項新設が最優先課題だと強調。日本維新の会や国民民主党も改憲議論を進める方向で同調した。立憲民主党は「(世論に)自衛隊は定着している」と指摘し、連立与党の公明党は9条がうたう専守防衛の維持を求めた。(中川雅晴、山本庸平)

 自民党の新藤義孝氏は、ロシアによるウクライナ侵攻を受け「防衛体制の充実は喫緊の課題だ」と強調。中国や北朝鮮の軍事的脅威などを念頭に「最も根幹的な国防規定について議論し、憲法に反映させることは、緊急事態条項の整備と併せて最優先で取り組むべき課題だ」と主張した。

 日本維新の会の小野泰輔氏は「安全保障環境が戦後最も厳しくなる中、9条に関するスタンスに触れずにおくわけにいかない」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎氏は「自衛隊は戦力か、軍隊かという本質的な議論が必要だ」と述べた。

 これに対し、立憲民主党の奥野総一郎氏は国民の間に自衛隊の存在は定着していると指摘した。「国論を二分し、国民を分断するような話を大騒ぎしてやるのか」と批判し、自衛隊明記案が国民投票で退けられれば「逆に違憲論が出てくる」と述べた。共産党の赤嶺政賢氏は「今必要なのは9条に基づく外交を粘り強く行うことだ」と訴えた。

 公明党の北側一雄氏は「9条を基にした専守防衛と日米同盟による防衛協力体制が基軸だ」と述べるにとどめた。

 自民党などが提出した改憲手続きに関する国民投票法改正案は4月の前回憲法審で審議入りした。立憲民主党はテレビ・ラジオCMやインターネット広告の規制に関する内容が含まれていないと異を唱え、12日は改正案の審議を見送った。

(2022年5月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ