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原爆題材の絵本 アニメ化 東映

■記者 岡田浩平

 原爆で家族5人を失った広島市中区十日市町の綿岡智津子さん(80)の家族写真に込める思いを題材にした絵本「いわたくんちのおばあちゃん」がアニメになった。20分間のアニメは小学生の寛太が主人公。友達の祖母が家族と写真を撮るのを断る理由を聞き、平和への思いを抱いていく。

 綿岡さんは、十日市町の自宅で家族6人の写真を撮った数日後、学徒動員先の工場で被爆。両親と妹3人を亡くし独りになった。以来、不安から一緒に写真に写るのを好まなくなった。

 広島市在住の天野夏美さん原作の絵本は2006年に発行。東映教育映像部の中鉢裕幸さんがアニメ化を企画した。俳優の吉永小百合さんも「推薦の言葉」を寄せている。

 綿岡さんの長女で制作に協力した岩田美穂さん(49)=中区=は「戦争で亡くなった人、悲しんだ人の思いが伝われば」と話している。教育施設などでの上映が目的で、市販品はない。

(2009年6月18日朝刊掲載)

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