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被爆者運動などの資料収集・発信 「継承センター」建設へ集い

 NPO法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会(東京)が2日、東京都内で「継承センター」の実現を目指す集いを開いた。被爆者運動などの資料を収集し、世界に発信する拠点。専門家の有志がまとめた基本構想を基に、約50人が首都圏へのセンター建設の展望や課題を話し合った。

 構想をまとめたメンバーの一人で一橋大の浜谷正晴名誉教授(社会調査法)が講演。収集対象に被爆者運動の記録、被爆者がつくった詩歌や音楽を挙げ「今集めなければ、埋もれて忘れ去られる」と危機感を表した。

 課題となる建設・運営資金や専門知識を持ったスタッフの確保についての具体的な手法は、構想では触れられていない。浜谷名誉教授は「最初は小さくてもいい」と述べ、被爆者の高齢化が進む中で建設を急ぐ必要性を強調した。

 会場からは「原爆被害が起きた背景の説明も重要だ」「第五福竜丸の乗組員のような被曝(ひばく)者も含めてほしい」などの提案が相次いだ。資金面や知名度不足から、実現性を疑問視する声も出た。

 岩佐幹三代表理事(84)は「資金の問題はどこでも指摘される。私たちだけではできないが、(被爆を体験した)日本国民として造らなければならない拠点だ」と協力を求めた。(藤村潤平)

(2013年11月3日朝刊掲載)

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