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沖縄の戦争・基地 関心を 日本復帰あす50年 中区で集い 三線講師の中村さん「ともに課題考えたい」

 沖縄は15日、日本復帰50年を迎える。沖縄県出身の三線(さんしん)講師中村盛博さん(72)=広島市安佐北区=は54年前、復帰前の沖縄から留学生として広島に来た。その後も「広島の人にも沖縄の戦争の歴史や過剰な基地負担に関心を持ち続けてほしい」と発信し続けてきた。15日、中区で集いを開き、沖縄を取り巻く課題について語る。(久保友美恵)

 中村さんは県南部の中城(なかぐすく)村で、1950年2月に生まれた。幼い頃に遊んだ近所には不発弾があることを示す赤い旗が多く立っていた。63年には県内で中学生が信号無視した米軍のトラックにはねられ、即死する事件が発生。運転手の米兵は軍法会議で無罪となり「自分と同じ中学生が被害に遭い、腹立たしく悔しかった」。

 教員志望だった68年、当時、中区にあった広島大教育学部に留学。親がドルで仕送りしてくれるたびにパスポートを持って銀行に行き、円に換えた。住み慣れた地を離れ、標準語と広島弁の理解にも苦労した。

 在学中の72年に迎えた沖縄の日本復帰は「外貨両替しなくて済むから便利」と思った一方、「日本政府が沖縄が良くなる、などと言っても欺瞞(ぎまん)的だと感じていた」という。

 大学卒業後は広島市内の私立高の英語教諭に。生徒や地元の子どもに、自身の親の沖縄戦の過酷な体験を語り継いだり、有志と街頭で沖縄の基地問題を訴えたりしてきた。退職し、三線を教える今も、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題などの新聞記事を元に教室の生徒と語る機会を大事にしている。

 沖縄では方言で時代を「世(ゆ)」と表現するという。「沖縄はまだアメリカ世が続いていると感じる。何が課題なのか、多くの人と考えたい」と話す。

 集い「アメリカ世は終わったのか」は15日午後2時~4時半、中区上八丁堀の広島弁護士会館で。中村さんのほか、3人が「日米地位協定」などをテーマに語る。参加無料。問い合わせ先は事務局の新田秀樹さん☎090(3373)5083。

(2022年5月14日朝刊掲載)

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