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改憲の議論活発化 警戒感「共有を」 山口大・松原准教授が下松で講演

 憲法を考える市民集会が下松市栄町の日本キリスト教団下松教会であり、山口大教育学部の松原幸恵准教授(56)=憲法学=が「改めて憲法を学ぶ」と題して講演した。ロシアがウクライナに侵攻する中「国民に不安が広がるのに乗じ(自民党を中心に)9条などの改憲の議論が活発化している。今がチャンスと考えているのか」と警戒感を示した。

 松原准教授は、ロシアの侵攻で「(同様のことが)私たちにもいつ降りかかってくるか分からないと政治家は言う。それは見通しの甘さであり、そのための手だてをするのが政治家ではないか」と問題提起した。その上で、日本が「軍事力」を強めようとすれば「周辺国も強めてくるだろう。乱暴な話だ」と強調した。

 2018年に自民党がまとめた憲法改正条文案への自衛隊の明記が、戦力の保持や交戦権を否定した9条2項を空文化する恐れがあると指摘。緊急事態条項の追加が自然災害だけでなく、拡大解釈され「国民の自由や人権を縛るものになりかねない」と述べた。

 日本国憲法は「個人の自由や人権を確保するため、国家権力を制限する近代立憲主義に立脚している」と述べ、改憲で「国家権力は憲法による縛りを緩めようとしており、それを簡単に許さない国民の姿勢が重要。多くの人と認識を共有するべきだ」と護憲の意義を強調した。

 集会は、同教会や、市職員労組などでつくる平和と民主主義と暮らしを守る実行委員会が5日に開き、市民たち42人が参加した。(中井幹夫)

(2022年5月15日朝刊掲載)

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