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「ピカに灼かれて」16冊目刊行 広島医療生協

 広島医療生活協同組合(広島市安佐南区)が、被爆証言集「ピカに灼(や)かれてPartⅡ」を刊行した。2006年に始まり16冊目。広島共立病院(同)の患者ら11人分を収録した。

 勤務2年目の医師や保育士たち33人が聞き取りと執筆をした。13歳の時に爆心地から約2.3キロの牛田町(現東区)で被爆した男性は、左半身や顔にガラスが刺さって数カ月寝たきりになった体験を証言。「広島に落ちた原爆より何倍も威力のある原爆が開発されています。もうあんな思いはしたくありません」

 冊子発行は同生協原爆被害者の会が1977年に始めたが、会員の高齢化のため28冊目で打ち切った。その後、若手職員が引き継ぎ、「PartⅡ」を発行。執筆に参加した保育士の上野響(きょう)さん(24)=安佐北区=は「被爆者が見た光景や戦争の悲惨さが鮮明に伝わってきた」と話す。

 原告全員を被爆者と認めた昨年の「黒い雨」訴訟の広島高裁判決を振り返ろうと、県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会の牧野一見事務局長の寄稿文も収録した。A4判38ページ。300円。☎082(879)8124(湯浅梨奈)

(2022年5月16日朝刊掲載)

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