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沖縄復帰50年 記憶語る 広経大・新垣教授が特別講義

 沖縄の日本復帰50年に合わせた特別講義が16日、広島経済大(広島市安佐南区)であった。那覇市出身で8歳の時に復帰を経験した、経済学部長の新垣繁秀教授(58)が、当時の体験や思いを語った。

 新垣教授は、米国の施政権下にあった1971年の「ニクソン・ショック」を解説。為替レートが不安定になり、「急な物価の上昇で、親も困っていた」と当時の記憶を振り返った。

 親戚が保管していたという復帰前の「身分証明書」や「日本渡航証明書」もスライドで示し、「自分たちが米国人なのか日本人なのか迷い、アイデンティティーが揺らいだ」と話した。

 最後に、沖縄に重い負担がかかる米軍基地問題などにも触れた上で、「見えにくい場所にこそ、日本社会の重要な問題がたまっている。そこに目を向けて」と呼び掛けた。

 同大では、15年前から岡本貞雄名誉教授(69)が学生たちと毎年沖縄を訪問し、戦争体験者への聞き取りを続けている。訪問に加わってきた竹林栄治准教授(56)も演題に立ち、「歴史が忘れられないように事実を学び、他者の痛みを知ることが大切」と訴えた。

 学生たち約80人が耳を傾けた。同大3年の間瀬駿介さん(20)は「沖縄戦の体験も含め、外に広く関心を持ちたいと思った」と話していた。(湯浅梨奈)

(2022年5月17日朝刊掲載)

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