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廃虚に芽生えた希望のクスノキ 映像作品で紹介 五日市高放送部

 原爆で焼け野原になった広島に芽生えたクスノキをテーマに、五日市高(広島市佐伯区)放送部が、映像作品作りに取り組んでいる。5分にまとめ、17日に広島市内で開かれる広島県高校総合文化祭(ビデオメッセージ部門)に出品する。

 クスノキは、原爆ドーム(中区)の円屋根の真下に芽を出した。木の実を鳥が運んできたとみられる。原爆で妻や娘を失い、ドームの近くに住んでいた自転車卸商の川本福一さん(1891~1970年)が46年、ドームの周辺に移植して育てていたという。作品は、その取り組みを遺族のインタビューとともに紹介する。

 制作しているのは、部長で2年の田中佑季さん(17)と1年の芳村映(はゆる)さん(16)。ドーム周辺の樹木に興味を持った2人が、97年の中国新聞の記事で川本さんの存在を知り、9月からインタビューしたり当時の新聞で事実関係を調べたりして取材を進めてきた。タイトルは「ドーム~めばえた緑」。廃虚の広島で育つ樹木が、人々の生きる希望となったことを伝えるつもりだ。

 「同世代など若い人たちに原爆について学ぶきっかけにしてほしい」と田中さん。芳村さんは「70年は草木が生えないといわれた広島で、緑が人々の心を慰めた。東日本大震災の被災者にも知ってもらいたい」とのメッセージを込める。(増田咲子)

(2013年11月4日朝刊掲載)

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