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両腕ない画家 核廃絶訴え カザフのクユコフさん 23年ぶり広島へ

 旧ソ連時代に繰り返された核実験の影響で生まれつき両腕のないカザフスタンの画家カリプベク・クユコフさん(45)が今月中旬、23年ぶりに被爆地広島を訪れる。20日には、口や足を使って描いた作品14点を広島国際会議場(広島市中区)で1日だけ展示し、核兵器廃絶を訴える。

 クユコフさんは、450回以上も核実験が実施された旧ソ連最大のセミパラチンスク核実験場近くの村で生まれた。兄と姉は1歳になる前に亡くなるなど、両親は核実験の影響を受けたという。

 絵は、子どものころから好きだった。油彩や水彩で草原や木々などカザフスタンの美しい自然を描写した作品のほか、住民の平穏な暮らしを脅かす不気味なきのこ雲、被曝(ひばく)者の苦悩を表現し、核実験を告発する絵もある。

 同核実験場を閉鎖に追い込んだ反核市民団体ネバダ・セミパラチンスク運動に参加。1990年には、代表メンバーの一員として、原水爆禁止日本国民会議の招きで広島を訪れ、原水禁世界大会に出席した。2012年には、カザフスタン政府が進めている核兵器廃絶プロジェクトの名誉大使に就任した。

 今回は、東京のNPO法人が取り組む平和活動「絵のない絵本プロジェクト」の一環で来日する。作品展は午後2~4時、この法人の理事長でグラフィックデザイナーの稲吉紘実さんと一緒に開く。無料。(増田咲子)

(2013年11月4日朝刊掲載)

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