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平和祈る風通し 広島市、原爆死没者名簿122冊

 広島市は18日、中区の平和記念公園で、原爆慰霊碑に納めている原爆死没者名簿を外気に当てて湿気を取る「風通し」をした。昨年から2冊増え、4802人分が加わった名簿122冊を晴天の下に並べた。

 職員18人が原爆投下時刻の午前8時15分に黙とうし、作業を始めた。石室から取り出した名簿の冊子を碑前に広げた白い布の上に置き、紙を1枚ずつ丁寧にめくった。遺族や、平和学習で同公園を訪れた子どもたちが作業を見守った。

 122冊のうち120冊は、昨年8月5日までに死亡が確認された広島の被爆者32万8929人の名前や死没年月日、死没時年齢を記載している。別の1冊は遺族が希望した長崎の被爆者12人の名前などを載せ、もう1冊には「氏名不詳者多数」と記している。

 同公園で修学旅行生たちにガイドをしている菅昭彦さん(63)=南区=は親族が名簿に記載されている。「原爆の犠牲になった一人一人の命の重みを感じる。核兵器はあってはならないと伝え続けたい」と作業を見守っていた。

 市は風通しした名簿を順次、石室に戻した。広島の最新の1冊と長崎の1冊は取り置き、昨年8月6日以降に亡くなるか、新たに死亡が確認された被爆者の名前を6月上旬から記帳する。8月6日の平和記念式典で納める。(小林可奈)

(2022年5月19日朝刊掲載)

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