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社説・コラム

『記者縦横』 平和大通り 整備に期待

■報道センター社会担当 新山創

 広島市が、市中心部を東西に貫く平和大通り(全長約4キロ)に自転車専用道を整備するという。通勤のために自転車やバスで毎日通る市民として、通りが安全で快適、にぎやかになることに期待したい。

 街路樹が連なる幅100メートルの市道の大通りは今、新緑がまぶしい。散歩やジョギング、木陰で遊ぶ親子連れ…。季節の移ろいを感じられる素晴らしい市道だ。会場の一つとなる毎年5月のフラワーフェスティバル以外にもっと活用できるのではないかと思っていた。

 市は、自転車専用道の整備のほか、緑地帯に飲食店や交流広場などのにぎわい施設を整備する計画だ。魅力を高めて観光客の回遊を促す目的がある。

 ただ、課題や懸念はある。自転車専用道は幅1台分で一方通行とする計画だ。高校生と高齢者ではスピードが違い、無理な追い越しで事故は起きないだろうか。通りにある橋の上は歩道も車道も狭く、自転車はどこを通すのか。解決すべき点は多い。

 にぎわい施設の整備についても「今ある原爆犠牲者の追悼碑や被爆樹木を動かさないでほしい」「にぎわい優先で雰囲気が壊されないか」など、さまざまな要望や意見がある。

 市は現在、有識者や通りに関わる事業者、警察と計画について話し合っている。平和大通りは50年前、市民の公募で通称が決まった復興のシンボルロードだ。安全性や利便性で市民の声をしっかり聞いた上での整備が必要となる。

(2022年5月20日朝刊掲載)

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