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広島サミット決定 来年、初の被爆地開催 核保有の米英仏集う 岸田首相表明

 岸田文雄首相(広島1区)は23日、日本が2023年に開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)の開催地を広島市にすると表明した。被爆地では初めて。同日の日米首脳会談でバイデン大統領から支持を受け、他のG7各国からも事前に賛同を得ていた。ウクライナに侵攻したロシアが核兵器使用を示唆する中、首相は「広島ほど平和へのコミットメント(関与)を示すのにふさわしい場所はない。核兵器の惨禍を人類が二度と起こさないとの誓いを世界に示す」と述べた。(下久保聖司)

 核兵器を持つ米国、英国、フランスの首脳が被爆地で顔をそろえる歴史的なサミットとなる。英国、フランスの現職首脳が広島市を訪れるのは初めて。G7がいかに結束し、どのようなメッセージを発するか注目される。過去6回の日本開催は5~7月だった。

 日米首脳会談は東京・元赤坂の迎賓館で開かれた。続く共同記者会見で、首相はウクライナ情勢に触れ「武力侵略も核兵器による脅かしも、国際秩序転覆の試みも断固として拒否するG7の意思を、歴史に残る重みを持って示す」と強調。

 広島では「G7首脳と共に平和のモニュメントの前で平和と世界秩序、価値観を守るために結束していくことを確認したい」と述べ、バイデン大統領も被爆地開催を「非常にうれしい」と歓迎した。

 他のG7各国の意向については、松野博一官房長官が同日の会見で「すべての国から日本の決定への支持を得ている」と説明した。

 被爆地選出の岸田首相は「核兵器のない世界」をライフワークに掲げる。ウクライナ情勢に加え、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発や、核兵器を持つ中国の覇権主義を強く警戒。国際協調の重要性を説いてきた。

 サミットの誘致活動を進めてきた福岡、名古屋両市も関係閣僚会合の開催地に選ばれる可能性がある。

 日本でのサミットはロシアも参加していた「G8」を含め来年で7回目。16年の伊勢志摩サミット(三重県)では、先立つG7外相会合を広島市で4月に開催。岸田首相は当時外相を務め、5月には現職の米大統領では初めてだったオバマ氏の広島訪問にも立ち会った。

G7サミット
 先進7カ国(G7)首脳が参加する国際会議。日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダがメンバー。欧州連合(EU)も加わり、安全保障や経済などを議論する。冷戦終結後にロシアが加わったが、2014年にウクライナ南部クリミアを強制編入したため排除された。議長国は持ち回りで、今年は6月にドイツで開催。日本では過去6回開かれ、1979年、86年、93年は東京都、00年は沖縄県、08年は北海道、16年は三重県が開催地となった。

(2022年5月24日朝刊掲載)

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