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騒音指数 20地点で最大 岩国基地周辺 艦載機移転以降 21年度 外来機飛来が影響か

 米軍岩国基地(岩国市)周辺の自治体と山口県でつくる県基地関係県市町連絡協議会は、2021年度の航空機騒音の状況をまとめた。岩国市や大竹市、廿日市市などの29測定地点のうち20地点で、うるささ指数(W値)が、岩国基地に空母艦載機の移転が完了した18年度以降で最大値となった。例年より1カ月早い艦載機の帰還や相次ぐ外来機の飛来が影響したとみられる。

 協議会事務局の県岩国基地対策室は「艦載機の動きが騒音状況に最も影響を及ぼすことを確認した。国に引き続き対策を要望していく」としている。

 国と県、岩国市が測定する34地点のうち、18年度から4年連続で計測した29地点でW値を比較した。最大は基地に隣接する岩国市旭町の75・0で、基地に近い同市尾津町74・9、同市川口町74・0と続いた。18年度と比べた増加幅は、8・0ポイント増の53・2となった大竹市西栄が最大で、続いて5・4ポイント増の56・4の廿日市市宮島だった。

 宮島や川口町、山口県和木町瀬田など基地北側の6地点は、18年度から4年連続で悪化した。艦載機の移転前の5年平均と比べると、比較可能な22地点のうち20地点でW値が増え、岩国市三笠町で7・5ポイント増、宮島で5・7ポイント増だった。

 月別は11月以降に最大値を記録した地点が9割を占めた。例年は11月に戻る艦載機約60機が10月上旬に帰還し、12月上旬に米空軍のステルス戦闘機F35Aが飛来して基地所属機と訓練を繰り返した影響と県はみている。艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)前後の訓練が活発化した4、5月も比較的高かった一方、艦載機が基地を離れた7、8月は低水準だった。(川村奈菜)

うるささ指数(W値)
 航空機の騒音を評価する指標の一つ。騒音の回数や続く時間、飛行の時間帯を考慮して算出する。生活への影響が大きい夜間を昼間より重視する。数値が大きいほど騒音がひどい。国は環境基準で、住宅専用地域はW値を70以下と定めている。W値70は、電車の車内に相当する80デシベルの音が日中に50回あった時のうるささになる。

(2022年5月25日朝刊掲載)

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