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核抑止力に理解を示す今の流れを変えたい 平和宣言作りに着手 広島で会合

 広島市が8月6日の原爆の日に開く平和記念式典で、松井一実市長が読む平和宣言の文案を検討する懇談会の初会合が26日、市役所であった。座長を務める松井市長がロシアのウクライナ侵攻に触れ、核兵器のない世界の実現に向け各国の為政者にこれまで以上の努力を求める意向を示し、賛同を得た。

 被爆者や研究者たち全8人が出席。松井市長は冒頭のあいさつで、ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用をほのめかしている点に言及。「核兵器がある限り人類は甚大な被害におびえ続けることが明白になった。為政者には安易に核抑止を選ばず、道は険しくとも核兵器をなくす決意を固めてもらう必要がある」と強調した。

 非公開での意見交換の後、松井市長はウクライナ情勢を念頭に「世論までが核抑止力に理解を示す傾向にある今の流れを変えたい」と述べた。出席者からは「若者が現実に戦争を目の当たりにする状況で大切な宣言になる」「先進7カ国首脳会議(G7サミット)や核兵器禁止条約など言及する事項が多い」などの意見が出たという。

 懇談会は計3回を予定。6月下旬に骨子、7月中旬に文案を示して議論を深める。懇談会での意見を踏まえ、原爆の日までに松井市長が起草する。(新山創)

(2022年5月27日朝刊掲載)

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