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島根県被爆者協が50年史 編集に2年半 証言などまとめる

 島根県原爆被爆者協議会(原美男会長、760人)は5日、1963年の結成から50年間の活動や被爆証言をまとめた記念誌「被爆者は訴え語り続ける」を刊行した。被爆者が高齢化する中、「今が記録を残す最後の機会」と、約2年半かけて編集した。

 B5判、257ページ。会の発足時からの年表、語り部などの伝承活動、被爆者相談活動などの記録を写真を交えてまとめた。動員学徒や召集兵として広島や長崎で被爆した会員40人の証言も収めた。

 編集のきっかけは、日本被団協(東京)が2009年に発行した50年史。本編480ページのうち、県協議会の記述はわずか1ページ半だった。原会長(86)=松江市=が「このままでは先人の活動が残らない」と会員に記念誌編集を呼び掛けた。県協議会が11年6月に編集委員会を設置。元役員の自宅などを訪ね、関連資料や個人の手記を探した。

 島根県内の3月末現在の被爆者の平均年齢は83・8歳と高齢化が進む。編集中には江津、大田両地区の組織が活動を停止した。原会長は「被爆者が体験を語ることができなくなる日が来る。記録を形に残せて良かった」と語った。

 1100部印刷。県内図書館などに贈るほか、残部は希望者にカンパ制で提供する。県協議会事務局Tel0853(62)2107。(明知隼二)

(2013年11月6日朝刊掲載)

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