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インドネシアで慰霊再び 07年まで戦友会開催 8日 呉海自OBら継承

 2007年を最後に途絶えていたインドネシアでの旧日本軍兵士の慰霊祭を、海上自衛隊の元隊員たちでつくる呉水交会(広島県呉市)が復活させる。碑を建立した戦友会が年1回営んでいたが、会員の高齢化で断念していた。(柳本真宏)

 11人が同国東部のビトン市にある慰霊碑を訪れる。呉水交会長で元自衛艦隊司令官勝山拓さん(69)=呉市晴海町=が5日、戦友会世話人の会社役員大之木英雄さん(91)=同市平原町=に会い、6日に出発、8日に慰霊祭をすると伝えた。

 元山海軍航空隊(現在の北朝鮮)に配属された大之木さんの同期生たちでつくる戦友会「元空戦の集い」が1987年10月、高さ約4メートルの慰霊碑を現地に建立した。42年に同航空隊員が、近くに落下傘部隊を運んだのが理由だ。

 南太平洋全体の犠牲者を対象に慰霊祭を開いてきたが、同期生の高齢化は進んで実施困難になっていた。

 大之木さんは元零戦搭乗員で、沖縄特攻作戦で同期33人を見送った。「生き残った者の責任」と、慰霊を続けてきた。大之木さんから呉水交会長を継いだ勝山さんは「思いを風化させず、慰霊活動を引き継ぐべきだ」と再開を提案した。

 慰霊の旅に参加する11人は戦友会員の遺族や水交会員たち。今回は戦友会と共催し、今後は水交会が5年に1度実施する予定。

 大之木さんも今回現地を案内するつもりでいたが見送った。勝山会長に「ただありがたい。迷惑をかけます」と伝えた。

 勝山さんは「東南アジアには朽ち果てそうな碑もある。戦争で亡くなった人の慰霊をできるだけ続けたい」と話していた。

(2013年11月6日朝刊掲載)

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