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被爆者とたどる「あの日」の足跡 広島市内で20人

 爆心地から約1・8キロの広島市内で被爆した梶矢文昭さん(83)=安佐南区=が28日、被爆後の避難経路を歩きながら当時の様子を証言した。NPO法人が企画したフィールドワークで市民約20人が同行。国民学校1年生だった梶矢さんの「あの日」を追体験した。

 梶矢さんは、荒神町国民学校の分散授業所(現東区上大須賀町)で雑巾がけをしていた時に被爆した。この日は現地で自作の絵を見せながら「ピカーっとなり、土煙に包まれた」と語り、授業所内で亡くなった姉の話を伝えた。

 がれきから抜け出し、大人の列を夢中で追って二葉山(東区)に登った梶矢さん。「燃えさかる広島の街をぼうぜんと眺めた」と振り返った。母親と再会した広島東照宮(同)の近くまで歩いて約2時間の行程を終えると、参加者に「多くの人の命を奪う原爆を許すまじと言い続けたい」と訴えた。

 参加した中区の三村奈七子さん(65)は「幼くしてつらい思いをした梶矢さんの記憶を心の中にとどめたい」と話した。

 梶矢さんは5年前に初めて、避難した道をたどって証言した。3回目の今回は平和活動に取り組むワールド・フレンドシップ・センター(西区)の依頼に応じた。

(2022年5月29日朝刊掲載)

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