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年金請求 諦めずためらわず 本紙連載執筆の社労士・柴田さんに聞く

 2007年に約5千万件の未請求年金記録の存在が発覚した「消えた年金」問題。戦時中にさかのぼる年金記録もあり、今も約1800万件が埋もれたままになっている。どうすればいいのか―。昨年10~12月のくらし面連載「年金もらい忘れていませんか?」を執筆し、5千件以上の請求漏れ年金を見つけてきた埼玉県川口市の社会保険労務士柴田友都(ゆういち)さん(74)=写真=に聞いた。(林淳一郎)

 公的年金は法律上、加入者が国に請求することで支給されます。これが膨大な年金記録が埋もれている要因になっています。中国地方にも戦時中、「軍都」と呼ばれた広島市をはじめ各地に軍事施設や軍需工場がありました。年金加入を周知されないまま働いた人は少なくありません。戦後もしばらく年金制度はあまり知られていませんでした。

 本来は国がしっかり相談を受け、手続きできる体制を整えるべきですが、現実は厳しい状況です。昨年の連載後、私の下には中国地方から約400件の相談が届いています。請求書類を整えて日本年金機構に提出し、これまでに受給に結び付いたのは約30件。総額は約1億円に上ります。戦時中の年金記録が見つかったケースもあり、今後さらに増える見込みです。

 戦時中や戦後間もなく働いていませんでしたか。夫が亡くなったのに遺族年金をもらっていないケースや、日本年金機構から届いた通知をそのままにしている人もいるようです。加入者本人が亡くなっていても、遺族が受給できます。諦めず、ためらわず―。心当たりがあればいま一度、請求を考えてほしいと思います。

柴田さんの連絡先

〒333―0802埼玉県川口市戸塚東4の25の4、産友社会保険労務士事務所。☎048(296)2075、ファクス048(296)5914

(2022年5月29日朝刊掲載)

消えた年金 見つかった 本紙連載受け 中国地方30件1億円

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