×

ニュース

平和への思い 一筆に 原爆死没者名簿 記帳始まる

 広島市は1日、原爆死没者名簿の記帳を市役所で始めた。昨年8月6日以降に亡くなったか、死亡が確認された被爆者の名前を書き加え、今年8月6日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典で原爆慰霊碑に納める。

 いずれも元市職員の池亀和子さん(80)=南区=と中本信子さん(79)=同=が8月まで作業をする。共に3歳の時に被爆した2人は初日、市役所の一室で名簿を前に手を合わせて黙とうした後、名前や死亡年月日、年齢を筆で書いた。

 市が昨年8月6日以降に把握した死没者はこの日までに4202人。33回目の記帳となる池亀さんは「亡くなった被爆者の冥福を祈って1字ずつ丁寧に記したい」、22回目の中本さんはロシアの軍事侵攻を念頭に「ウクライナの人に思いを寄せ心を込める」と話していた。

 名簿は122冊あり、120冊には昨年8月5日までに死亡が確認された広島の被爆者32万8929人が記帳されている。別の1冊は遺族が希望した長崎の被爆者12人の名前を載せ、もう1冊には「氏名不詳者多数」と記している。市は登載の申請を8月5日まで受け付ける。市原爆被害対策部調査課☎082(504)2191(平日午前8時半~午後5時15分)。(川上裕)

(2022年6月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ