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首相 被爆者2人派遣へ 20日 核の非人道性国際会議

 岸田文雄首相(広島1区)が、オーストリア・ウィーンで20日にある「核兵器の非人道性に関する国際会議」に被爆者2人を含む日本政府代表団を派遣することが2日、分かった。複数の関係者が明らかにした。翌21日から23日まで開催される核兵器禁止条約の第1回締約国会議には政府としての参加を見送る。

 外務省の軍備管理軍縮課長らとともに派遣される被爆者は、日本被団協の木戸季市事務局長と長崎県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長。岸田首相は過去3回の会議と同じく、日本政府として被爆者を含む代表団を送り込み、広島、長崎の原爆被害を世界に発信する構えでいる。

 非人道性に関する国際会議は、核兵器の使用がもたらす惨禍に焦点を当てた会議で、昨年1月に核兵器禁止条約が発効する原動力となった。8年ぶりとなる今回の会議には広島市の松井一実市長も訪れる。

 一方首相は、初回となる核兵器禁止条約の締約国会議を巡って被爆者たちが求めるオブザーバー参加はしない。同盟国である米国が条約に否定的な現状などを踏まえた。連立与党の公明党や野党の議員は、禁止条約に賛同する国際議員団の枠で加わる。

 外務省は、締約国会議にオブザーバー参加する学生団体メンバー4人を「ユース非核特使」に任命した。特使は岸田首相が外相時代の2013年、若者への被爆の実態の継承などを目的に創設した。(樋口浩二)

(2022年6月3日朝刊掲載)

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