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[G7サミット ヒロシマへ 期待と注文] 広島市商工センター地区活性化検討会MICE部会 伊藤学人座長 国際会議誘致の弾みに(2023広島サミット)

  ―国際会議や展示会向け大規模施設(MICE施設)の整備を広島市に求め、周辺のまちづくりを検討する組織の座長です。先進7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催は追い風となりますか。
 期待は大きい。サミットの映像は世界中に発信され、広島に注目が集まる。学会や展示会は知名度の高いところで開かれる。広島を会議の舞台にしたいとの要望がある場合、きっちりと応えられる環境が必要だとの思いを強くしている。

市内 施設ない

  ―5千人以上が入るMICE施設を要望しています。
 そういう施設が市内にないからだ。2013年開催の全国菓子大博覧会(ひろしま菓子博)で実行委員会事務局の事務総長を務め、中区の旧市民球場跡地に大型テントを設営した。閉幕後、テントで医療機器などの大規模な展示会を開きたいと別団体から相談があった。経費面などから実現しなかったが、つくづく施設の不足を感じた。

  ―サミットでは、国内外のメディアの取材・編集拠点となる国際メディアセンターを県立総合体育館(中区)と広島国際会議場(同)に置く想定です。
 23年のサミット誘致に名乗りを上げた福岡市と名古屋市には大規模な施設があり、1カ所で十分に対応できたはずだ。MICE施設の面では、両市にすぐには追いつけないほどの差をつけられてしまっている。

 大規模な学会の場合、会議と会議の間の休憩時間は15分程度が理想と聞く。会場が狭く、分散して参加者の移動が大変になると、休憩時間が長くなって敬遠される。大きな器が有利になる。

県産品に注目

  ―サミット開催は地域の魅力アップにつながりますか。
 サミットで各国首脳に提供される食事や贈答品など広島県産品に注目が集まるだろう。5月に東京であった岸田文雄首相(広島1区)とバイデン米大統領のワーキングランチの乾杯で使われた広島レモンサイダーは一部の店で在庫切れになったという。サミット後に新たな広島の定番商品を生むことができるかもしれない。おもてなしを磨き、都市の魅力が高まれば国際会議の誘致につながる。

  ―そのほかの波及効果はどんなものが考えられますか。
 サミット関係者の宿泊や食事など直接的で一過性の経済効果だけでなく、地域の自信や誇りが自然と芽生えればうれしい。世界から人々をお迎えしようと、交通インフラや景観を官民でより良くする機運をさらに高めたい。世界の要人や最先端の技術、斬新な発想が集い、若い人に刺激を与える好循環が生まれることを期待している。(聞き手は川上裕)

いとう・がくひと
 慶応大経済学部卒。1977年伊藤砂糖(現イトー)に入社し、90年から2020年まで社長。現在は会長。広島県中小企業団体中央会会長、協同組合広島総合卸センター理事長も務める。19年から広島市商工センター地区活性化検討会MICE部会座長。広島市西区出身。72歳。

(2022年6月4日朝刊掲載)

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