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基地強化反対 坂本さん死去 「運動の星」惜しむ声

 米軍岩国基地(岩国市)の機能強化に反対し、県境を越えて運動してきた廿日市市の坂本千尋さんが5日、69歳で急逝した。共に活動してきた関係者から惜しむ声が上がった。

 在日米軍再編に伴う岩国基地への空母艦載機の移転計画が浮上して「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会」の前身団体を2005年に結成して以降、運動に携わり、岩国市など全国の団体と輪を広げた。同会共同代表を務め、5月24日にも中国四国防衛局に機能強化の反対を申し入れた。

 艦載機移転の反対運動に共に力を注いだ元廿日市市長の山下三郎さん(92)は「何度も相談に来られ、住民の立場から純粋な思いで反対を訴えていた。平和のために頑張られた。お若いのに」と残念がった。住民の会共同代表の1人の菊間みどりさん(60)=廿日市市=は「一人の市民、一人の母親としておかしいことはおかしいと声を上げるのが大事と励ましてくれた」と振り返った。

 岩国市の市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の久米慶典顧問(66)は「戦闘機が騒音をまき散らす理不尽さを許せず、正義感が強い坂本さんだからこそ人が集まった」と惜しんだ。30年来の親交があった元岩国市議であたごやま平和研究所の田村順玄代表(76)は「全国の基地の動きに詳しく、広島の人たちの思いも掘り起こしてくれた。運動の大きな星を失った」と悼んだ。(永井友浩、八百村耕平、有岡英俊)

(2022年6月8日朝刊掲載)

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