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連載・特集

[G7サミット ヒロシマへ 期待と注文] 広島商工会議所 池田晃治会頭 5G拡充 発展の契機に(2023広島サミット)

  ―新型コロナウイルス禍が続く中、先進7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催が決まりました。地域経済への波及効果をどうみていますか。
 サミットは世界的に注目が集まり、開催前から海外メディアが広島を訪れる。食で言えば海の幸、山の幸、地酒もある。広島の産業や文化などを世界へ発信する絶好のチャンス。国内外からの誘客効果が大いに期待できる。

観光面で効果

 サミット期間中の直接的な経済効果だけでなく、開催後の波及効果も大きい。コロナ禍で厳しい思いをした観光、飲食業の人たちも大きな期待を持っている。円安でメリットもあるため、インバウンド(訪日外国人客)が今後増えるだろう。日本の中で選ばれる観光地になる。

  ―サミットを契機とした街づくりをどう進めるべきだと考えますか。
 官民が協力し、第5世代(5G)移動通信システムの拡充を図ってほしい。国際メディアセンターを置く想定の県立総合体育館(中区)と広島国際会議場(同)を含めて5G網を広げれば、サミット後の広島の発展に寄与する。中山間地域や島しょ部での医療や教育にも利用でき、県民の生活の質の向上に役立つ。また、ベンチャー企業などの誘致にもつながり、地域の企業の生産性も上がる。非常に大きなインフラとなる。地方都市の中でも先駆的に進めていければいい。

  ―開催に向け、経済界としてどのように関わっていきますか。
官民が一体で

 例えば、街の中に外国語での表記ができているかなど、本当におもてなしができるか一つ一つ確認しないといけない。広島商工会議所として、2016年に開催した伊勢志摩サミットがあった三重県の商議所を訪ね、どんな課題があったかなどを情報収集したいと考えている。

 また、警備など多くの関係者が広島を訪れる。宿泊施設や警備車両の駐車場所をどう確保するかといった問題が出てくるだろう。経済界、民間企業として場所を提供するなど協力できるかもしれない。成功させるために広島県、広島市と経済界が一体となって取り組む。

  ―各国首脳には何を見てほしいですか。
 恒久的な平和の構築がないと経済発展はない。被爆から復興した広島を見てもらいたい。機会があればマツダの工場やミュージアムなどを見学し、主要産業である自動車にも触れてほしい。ウクライナ問題で資源や食料の価格が高騰し、産業界だけでなく国民生活に大きな影響が出ている。広島でのサミットで国際平和を前進させるのはもちろん、正常な経済活動への転機となることを期待している。(聞き手は山本和明)

いけだ・こうじ
 慶応大商学部卒。1977年、広島銀行入行。執行役員福山営業本部長、常務総合企画部長などを経て2012年に頭取。18年から会長。19年11月に広島商工会議所会頭に就いた。三原市出身。68歳。

(2022年6月8日朝刊掲載)

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