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アジア安保会議 首相「核なき世界」訴えへ 一方で「拡大抑止」も

 岸田文雄首相(広島1区)がシンガポールで10日開幕するアジア安全保障会議で「核兵器のない世界」を呼び掛ける講演をすることが8日、分かった。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する事態を踏まえ、被爆地選出のリーダーとして核兵器廃絶に力を注ぐ姿勢をアジア諸国や米国に示す。(樋口浩二、口元惇矢)

 閣僚級の参加が目立つ同会議に日本の首相が参加するのは2014年の安倍晋三元首相(山口4区)以来8年ぶりで、岸田首相の発言が注目されている。複数の政府関係者によると、首相はロシアが核兵器による威嚇を続け、その使用すら現実味を増す今こそ、「核なき世界」に向けて核軍縮を進める必要性を訴える。

 外相時代から重視する核拡散防止条約(NPT)についても言及。加盟国ロシアによる核威嚇でNPT体制が揺らぎかねないとの認識に立ち、核兵器保有国が核軍縮の責務を果たすべきだとの考えを打ち出す。

 一方、核兵器やミサイル開発を進める北朝鮮への対応などを念頭に、米国の核兵器や通常戦力に頼る「拡大抑止」を強化する姿勢も示すとみられる。

 アジア安全保障会議は12日までの日程で、首相は11日まで参加する。23年に議長として被爆地広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)への弾みにもしたい考えだ。

(2022年6月9日朝刊掲載)

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