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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] 核の非人道性 若者が発信 安佐南区出身 高垣さん/広島大職員 ウィットビーさん

被爆者の思い 届けたい

 21~23日にオーストリア・ウィーンである核兵器禁止条約第1回締約国会議に合わせ、被爆地広島にゆかりのある若者が現地で核兵器の非人道性を訴える。被爆者の苦しみと核兵器廃絶の願いを国際社会に届けたい―。日本政府が条約に背を向ける中、被爆者の思いを胸に各国の若者たちと連携を深める。

 広島市安佐南区出身の早稲田大2年高垣慶太さん(19)=東京=は、同条約の制定に貢献した赤十字国際委員会(ICRC)の駐日代表部(東京)のユース代表として現地を訪れる。締約国会議のサイドイベントで現地に集まった非政府組織(NGO)のメンバーたちに、核兵器による被害の実態を伝える予定だ。

 高垣さんの曽祖父2人は広島、長崎でそれぞれ救護に当たった医師。曽祖父の被爆体験は小学生の頃から祖父母たちから聴き、広島市西区の崇徳高新聞部では、被爆建物の保存問題などを取材してきた。

 ICRC駐日代表部のボランティアを務め、特に人道的な側面から広島の被害を訴えてきた。「曽祖父たち亡くなった被爆者の存在や記憶、思いをつなぐことが一つの使命。被爆者が苦しんだ差別や健康不安など、核兵器の目に見えにくい非人道性も含めて伝えたい」と力を込める。

 核兵器保有国の一つ、英国出身の広島大職員デイジー・ウィットビーさん(26)=東広島市=は、締約国会議初日の21日、世界各国の若者がワークショップや討論を通じて核兵器廃絶に向けた取り組みを考える「若者締約国会議」に参加する。

 ウィットビーさんは5年前に広島、長崎を旅行で訪れて被爆の実態に関心を抱いたことがきっかけで広島県に移住。広島市のNPO法人ANT―Hiroshimaのボランティアとして、核兵器の被害や禁止条約の重要性について理解を深めてきた。「広島の被爆者は、核兵器が癒えることのない苦しみをもたらすことを教えてくれた。核兵器のない世界を築くための知識と経験を得てきたい」と話している。(小林可奈)

(2022年6月14日朝刊掲載)

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