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CTBT批准を促す 岸田外相、イラン大統領に

 イラン訪問中の岸田文雄外相は9日午後(日本時間同日夜)、ロウハニ大統領とテヘランで会談した。同国の核問題の解決に向け、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准など具体的な行動を促した。 (テヘラン発 藤村潤平)

 会談は大統領府であった。岸田氏は、イランが国際社会の信頼を得るため、CTBTへの批准や、国際原子力機関(IAEA)による抜き打ち査察を可能にする追加議定書の履行の必要性を強調。ロウハニ大統領に柔軟な対応を求めた。

 CTBTは160以上の国が既に批准。発効には研究・発電用の原子炉を持つ全ての国の批准が必要だが、米国やイランなど8カ国が批准していない。ロウハニ政権が核問題の早期解決に積極的な姿勢を示す中、日本政府は2国間協議を通じて粘り強く批准を働き掛ける意向だ。

 会談では北朝鮮情勢も議題になった。岸田氏は、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威について、イランも認識を共有するよう求めた。このほか、水資源管理などの環境分野での協力や地震発生時の人道支援、国境周辺の麻薬対策などを進めることで合意した。

 岸田氏はロウハニ大統領との会談に先立ち、保守強硬派のラリジャニ国会議長とも会談した。核問題をめぐってスイス・ジュネーブで進む欧米など6カ国との交渉について、イラン国内の反応などを聞いた。

 岸田氏は9日午前、テヘランに到着。当初は同日午後にザリフ外相と会談する予定だったが、ジュネーブでの協議に出席していたザリフ氏の帰国が遅れ、10日午後(日本時間同日夜)に変更された。

 日本の外相のイラン訪問は約4年半ぶり。政府は、イランと交渉する欧米など6カ国の努力を後押しする機会と位置付けている。

(2013年11月10日朝刊掲載)

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