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[ひろフェス 2022] ウクライナ出身アニメーター ナタ・メトルークさん 母国思い 創作に全力

広島復興に「希望をもらえる」

 ウクライナ出身で米国在住のアニメーター、ナタ・メトルークさん(39)が今月から、作品制作のため広島市内に滞在している。13日、訪れた比治山大(東区)で取材に応じ、ロシアの侵攻を受ける母国の「一日も早い終戦と復興を祈っている」と語った。

 ウクライナ中部のカニウに生まれ、大学進学から米国に移住する26歳まで東部ハルキウで過ごしたメトルークさん。2月の侵攻開始からしばらくは「何も手に付かず、現地の映像をただ見ていた」と振り返る。

 両親と妹たちは今でもハルキウに暮らす。ロシア国境に近く、毎日のように砲撃を受けている。不安で胸が張り裂けそうな中、ビデオ通話で頻繁に連絡を取り合い、「お互いに支え合っている」と言う。

 メトルークさんは8月に開幕する「ひろしま国際平和文化祭」(ひろフェス)の一環で今月に入り来日。地元に滞在して制作に取り組む招聘(しょうへい)作家3人のうちの1人として、8日から市内のアパートに住んでいる。

 被爆の惨状から立ち上がった広島での創作。「悲惨な過去があっても今ではこんなに美しい街になっている。いつかウクライナも復興するという希望をもらえる」と話す。故郷を案じてニュースから目が離せない毎日だが、創作にベストを尽くそうと決意を新たにしている。

 招聘作家の他の2人は呉市出身の是恒さくらさん(36)とイラン出身のマフブーベフ・カライさん(30)。3人は半年にわたって創作に励む。(山田祐)

(2022年6月14日朝刊掲載)

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