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平和の尊さ 無言の教え 広島で被爆樹木巡り観察

 被爆樹木を巡るイベントが9日、広島市内であった。市民約30人が、68年前の惨禍を乗り越えて生き続ける木々と向き合い、平和の尊さを考えた。

 樹木医の堀口力さん(68)の案内で、鶴羽根神社(東区)から禿翁(とくおう)寺(中区)まで寺社8カ所を約2時間かけて回った。爆心地から約2キロの安楽寺(東区)では樹齢約300年の大イチョウを観察。被爆時に焼けた影響で、幹の一部が成長せずにくぼんだ様子に見入った。

 禿翁寺では、樹皮が白く荒れながらも枯れずに立っているクスノキとも対面した。堀口さんは「被爆樹木は言葉を発しないが、生き残っている事実を通じて被爆の実態を伝えている」と強調した。

 市によると、被爆樹木は爆心地から半径2キロ以内の55カ所に約170本ある。西区の主婦渡部和子さん(69)は「被爆の痕跡を後世に残すため、木々を守ることが大切」と話した。

 イベントは中国四国博報堂と中国新聞社が「緑の伝言プロジェクト」の一環として開いた。(境信重)

(2013年11月10日朝刊掲載)

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