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明子さんのピアノ 独のラジオ紹介 新作の音楽劇に登場 放送後 ネットで発信も

 広島の原爆で亡くなった女子学生・河本明子さんと遺品の被爆ピアノが登場するラジオ音楽劇を、ドイツの公共放送局ドイチュラントフンクが制作した。ドイツ国内で18日に放送し、インターネットでも発信する。

 「借りた風景」(Geborgte Landschaft)と題した58分間の音楽劇。明子さんのピアノをはじめ、欧州で戦争を生き延びたバイオリンとコントラバスにまつわる物語を、音楽とナレーションでつづる。英国在住の作曲家・藤倉大が書き下ろした新曲をピアニストの小菅優とバイオリン奏者インディラ・コッホ、コントラバス奏者テオ・リーが奏でる。

 劇中には、藤倉が3年前に広島を訪れて作曲したピアノ協奏曲「明子のピアノ」のカデンツァ(独奏部分)も登場する。このピアノ協奏曲は被爆75年の2020年8月、広島交響楽団が世界初演した。

 今回のラジオ番組は、広島を訪れて明子さんのピアノを取材した、ベルリン在住の音楽ライター中村真人さんが提案して実現。このピアノを保存する市民グループの二口とみゑ代表は「広島の少女の声なきメッセージが、音楽を通じて広がることに感動している」と話す。

 放送後、同ラジオ局(Deutschlandfunk)のホームページで数週間にわたり無料聴取できるほか、動画投稿サイトのユーチューブで収録風景の動画を配信している。ユーチューブ上で「Geborgte Landschaft」と検索。(西村文)

(2022年6月15日朝刊掲載)

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