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被爆国とは? 問われた国会 首相「核共有」認めず ■ サミット広島へ

 通常国会が開かれていた2月、ウクライナに侵攻したロシアが核兵器で威嚇したことで、核兵器を巡る議論が巻き起こり、被爆国である日本の立ち位置が問われた。「核兵器のない世界」を掲げる岸田文雄首相(広島1区)は非核三原則を堅持すると強調。来年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を広島市で開くことを決め、初の被爆地開催の意義を説いた。

 核兵器を巡る議論でとりわけ関心を集めたのは、安倍晋三元首相(山口4区)の発言だった。ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の可能性を示唆した2月下旬、日本国内に米国の核兵器を置いて共同運用する「核共有」政策の議論をテレビ番組で提起した。

 国会にも波紋が広がる中、政府の考え方を問われた首相は「非核三原則を堅持するわが国の立場から考えて認められない」と述べた。以降も、核共有議論に前向きな日本維新の会、反対する立憲民主党や共産党などから政府へ質問が相次いだ。首相は「政府として議論することは考えていない」との姿勢を貫いた。

 一方、安全保障で信頼を寄せ続けるのは米国の「核の傘」だ。5月下旬のバイデン米大統領との首脳会談では米国が核兵器と通常戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」の強化に向け緊密に協議することで一致。自民党議員への国会答弁で「核抑止に対する信頼維持の努力を続ける」とした。

 日米首脳会談で表明したG7サミットの広島開催。公明党議員への国会答弁では「核兵器の惨禍を二度と起こさないとの誓いを世界に示し、G7首脳と共に平和と世界秩序と価値観を守る結束を確認する」と述べた。米国、英国、フランスの核兵器保有国を含む各国首脳が広島に集い、被爆の実態に触れる意義も訴えた。(山本庸平)

(2022年6月16日朝刊掲載)

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